episode56 最凶の兄弟喧嘩 inserted by FC2 system





とある青年の声が木霊する。


零次は、当分その青年に会っていなかった。


相当懐かしい。


正直、驚いた。


まさかこんな場所で会えるとは・・・最後の日に・・・。

















零次「浩二・・・





浩二「・・・久しぶりだな、零次」


零次「・・・・・お前がここで現れるのは正直計算外だったぜ・・・」


真治「浩二・・・」


浩二「お前はここで何をしているんだ・・・?」


零次「・・・見りゃ分かるだろ?真治を殺そうとしてたんだ」


浩二の目が一瞬大きく開かれる。


その瞳は大きく怒りに満ち溢れていた。


両拳に力が入る。


真治「浩二・・・!!今のアイツには俺達の常識は通じない!油断するなッ」


零次「分かってんじゃねェか・・・
   だがもう時間がない・・・浩二、テメェから殺るか・・・」


浩二「・・・・・ッ」


浩二の口から血が流れる。


それは浩二が唇を噛んでいたからだ。


怒りの余り、あまりにも強く・・・。


零次「行くぜッ・・・!!!」


零次は地面を蹴ると浩二に一直進に進んで来る。


そして大きく太刀を振りかぶると浩二に振り下ろす。


浩二は華麗にかわし水下を殴りつける。





浩二「ばっか野郎がッッ!!!!!!!





その表情はあまりにも険しく今にも零次を殺してしまいそうな・・・そんな勢いだった。


零次「がッああぁあぁぁああぁ・・・」


零次は地面に転がりながら体勢を立て直す。


零次「やるじゃねェか・・・」


浩二「僕も言えた義理じゃないが・・・それでもッッ!!!僕はあんたを許さないッ!」


零次「うるせーな・・・お前には関係ねェだろうがああ!!!!!!!!!!」


浩二「それでも・・・あんたには生きていて欲しいんだ・・・


零次「気持ち悪ぃなッ!!またお前も家族とか偽りなモンにすがるのか!?」


浩二「偽りなんかじゃない・・・僕はまだお前を諦めていないッ」


零次「糞が!!!いいか!?今日で全てが終わるんだよッ!!そんで新世界が創られるんだよッ!」


浩二「それは新世界なんかじゃない。世界が滅びたんだ」


零次「いいやッ!違うね!皆が求めている争いのない世界なんだ!


 たとえ、それが俺の居ない世界だとしても・・・
 それでも俺は信じているッ!!!






浩二「僕はお前が居ないせかいなんてまっぴらだね」


零次「なんだと・・・?」


浩二「みんなが笑って・・・幸せに暮らせない世界なんか絶対にいらない!」


零次「・・・・・黙れ」


真治(あの零次が少し圧されている・・・?)





浩二「お前はミステリオの道具なんかじゃない・・・防衛軍はお前を待ってる・・・」


零次「・・・・・黙れ黙れッッ!!!」


浩二「たとえ、そこがお前の気に食わない世界だとしても・・・僕はお前を待ってる。
   それでもお前がどうしても気に食わないのなら・・・僕と戦おう・・・














真治「あの浩二が初めて自分から戦いを望んだ・・・!!











零次「・・・・・・!!!」


浩二「さぁ・・・来いッ!!
   お前の古い物語を終わらせてやるッ!!!!!!」


零次「フッ・・・どこまでも面白い奴だ・・・いいぜ・・・いいよいいよ!!!」


零次は零刀はしまうと浩二に接近戦を挑む。


浩二と零次、両者飛び上がると殴り合いが始まった。


殴れば殴られ蹴れば蹴られ五角の戦いを繰り広げる。


やはり、双子。


実力は同じくらいだ。


浩二は零次の背後に回り込むと背中を蹴り上げる。


零次「ぐああぁ!!!」


零次は数メートル吹っ飛ぶが体勢をすぐ立て直す。


エンザン「おいおい・・・真治はどうするつもりだ?零次」


零次「テメェはそこで指加えて待ってろッ・・・まとめて殺してやる・・・」


浩二「さぁ・・・来やがれ!!」


零次「舐めやがってッ!」


零次は浩二に一直線に走った。


浩二「何度突っ込んだって同じだッ!!」


零次「どうかなw?」


零次は凍った地面の上でスライディングをする。


勢いに乗った零次は浩二の股の下を通り抜け背後にまわる。


零次「お・れ・に背後を取られたらどうなるか知ってるw?」


浩二「なっ・・・!?」


零次「もう死ぬしかないぜw?



   零仭・波動砲っ


零次は地面を触ると地響きと共に氷の刃が浩二を下から襲う。


浩二「なんだっ!?」


エンザン(俺も避けないとマズイな・・・)


浩二は高く飛び上がると次々の襲う氷の刃の上に乗りながら零次と距離を取る。


浩二「マズイな・・・兄さんも巻き添いになるぞ・・・」


この技はあくまで地面が氷だから使えるモノだ。


通常の地面ではこの技は繰り出せない。


てことは・・・今現在では僕の方が不利か・・・


浩二は笑う。





浩二「なら、まとめて全部ぶっ壊せばいいじゃねェかww





浩二「新技だ・・・


 ダークフォース・第一奥義  闇砕き!!!


零次「っな・・・」


浩二は全身から闇のオーラを放つ。


そして全身に赤い雷を纏いながら闇球を繰り出す。


零次「なんだ・・・?アレは・・・」


フォース?


聞いたことないぞ、そんな技・・・


真っ向勝負なんか出来やしねェ・・・


零次は闇球をよく見てみると、


謎の赤い雷が闇球の威力をより増加させているのが分かった。


零次「なんじゃぁありゃ・・・」


たしかにアレを止めるのは一筋縄じゃいかねェか・・・


零次「でも・・・それを止めるのが俺だろうよ・・・!!!


まず零次は地面から氷の刃を何本も出し0.2,3秒時間を稼ぐ。


一瞬止められれば・・・俺の勝ちだッ!



と瞬間に氷の刃を粉砕し零次を襲う。


と思ったが、そこに零次の姿はなかった。





とてつもない轟音と共に地面の氷と刃は砕け散った。





浩二「やったか・・・?」


エンザン「馬鹿だなぁ、君は・・・」


浩二「ムッ?貴様!」


エンザン「よく見てみろよ、まだだよ?」


浩二「なんだと・・・?」


エンザン「wwwwwwwwwwwwwwwww」


浩二「何が、おか・・・・・・」


浩二の足に激痛が走る。


足には氷の刃が突き刺さっていた。


浩二「な・・・にぃ・・・」


エンザン「だから言ったじゃんwwまだだって」




ただならぬこの冷気。


零次は全てを凍らせていた。


闇球も煙も、なにもかも全て・・・


零次「・・・・・・・・・・効かねェ・・・・・」


浩二「なんてヤツだ・・・」


零次「行くぞ・・・」


零次は、いくら凍らせたとはいえ力を大分消費しており疲れきっている。


一方浩二も足のハンデと奥義を使った事により体力の消耗が激しい。


次、決めた方が勝つ。


それはお互いが知っていた。


零次「ぜってぇ・・・負けねェ・・・!!!」


浩二「はん・・・大した心意気だな・・・僕もだ・・・


  ここで折れる訳にはいかねェ・・・





零次「無理だよ・・・お前に人を動かすことなんて出来やしないさ・・・」


浩二「何故?」


零次「お前は昔から誰よりも戦うのが嫌いだった。。。そうだろう?
   その反面、俺は毎日誰よりも努力してきた・・・なのに・・・」


浩二「あん・・・?」














アイツ・・・誰かに認めてもらいたかっただけなのかもな・・・








零次「努力の差ってのを見せてやる・・・もう昔には戻れない事も教えてやるぜ・・・!!!」


浩二「確かに・・・僕は零次よりは戦闘力は劣っているかもしれないな・・・


   でも僕は戦うよ、100回倒されたら100回起きやがってみせる・・・1000回殴られても僕は暴力以外の解決策を見つけてみせる。」


零次「見つかったか・・・その解決策は?」


浩二「あぁ、答えは一つ。お前を回生させる以外ないようだ」


零次「それは無理だ。何度も言ってる筈だ。」





浩二「わかってるよ、それが無理だってことくらい・・・でも僕は戦う・・・


 かつて当たり前だった日常を取り戻す為にね・・・





零次「どいつもこいつも馬鹿ばっかだ・・・いいぞ、次で決めてやる」


浩二「あぁ、僕もそのつもりだ」


零次「ミステリオ様・・・我に力をおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」


浩二「行くぜ・・・これがミステリオの陰謀通りっていうなら・・・











  まずお前の描く物語を終わらせてやるッ!!!!











両者、第一次覚醒になった今・・・誰も予想出来ぬ戦いが始まる。