episode55 煙と炎の追撃 inserted by FC2 system





あれからどのくらい時間が経っただろうか。


服は破けあちらこちらから血が出ている。


双剣を握る手は震え視界はどんどん狭まる。


一方の双剣使いも大分疲れ息が上がっている。


火炎「チッ・・・雑魚相手になんて様だ・・・」


栄太「ふ、もっと無様さらしてやるよッ!!!」


火炎「それはテメェだッ!!!」


火炎は双剣に炎を纏わせると再び栄太に斬りかかる。


栄太はすかさず水のマジックで対抗するが、もう体力の限界なのかその威力は小さい。


火炎「フレイム・プリズン!!」


火炎の双剣から大量の炎が放出され栄太の腹部を貫く。


栄太「ぐああぁぁあぁあぁああぁあ!!!!!!」


クリス「栄太君!!!」


火炎「ヘッ・・・女共は黙ってな!!」











と同時に火炎はゆっくりと倒れた。


どうやら撃たれたようだ。


クリス「!?」


栄太「な・・・何が・・・?」


煙を出す銃を持つ少女に視線を向ける。


梓「わ・・・私・・・」


マグナムを持ってる梓はブルブルと震えこちらを見つめている。


栄太「どりま、ありがとう・・・」


栄太はゆっくり立ち上がる。


火炎は動かない。


栄太「いい様だなww女に殺されるとはな・・・w」


火炎「だ・・・黙れ・・・」


火炎はうつ伏せから仰向け状態になると、苦しそうにこちらを見つめる。


火炎「い、一瞬でも油断した俺が馬鹿だった・・・な」


栄太「まぁ、そうだな・・・女だって銃くらいは撃てる。背を向けたお前の負けだ・・・」


火炎「・・・・・何をしている?早く殺れ・・・」


栄太「やだね。俺らは勝つ為にやってんで、殺す為にはやっていないからな。


火炎「どこまでも甘い奴よ・・・
   まぁ、どちらにせよ俺はミステリオ様に殺される。油断したとはいえ、女に撃たれたとあったら俺は・・・」


栄太「いや、させねーよ・・・俺らがあいつを倒す・・・」


火炎「馬鹿も休み休みいいやがれ!!
   お前には絶対に無理だ・・・あの方は・・・無敵だ、これは本当だッ!!」


クリス「そんな事承知で今まで旅してきたんだもんw」


火炎「・・・・・そうか」


火炎はポツリと寂しそうにつぶやいた。


火炎「俺はずっとミステリオ様を信じていた・・・それに悔いはない。」


火炎は自らの双剣、"ソリー"を上に高々と突き上げる。














火炎「だがやっとの最後で裏切られるんじゃ・・・示しがつかねェや・・・


栄太「裏切られたのか!?」


火炎「テメェには関係のないことだ・・・
   だがミステリオ様は俺らも殺すつもりだ。誰一人生き延びる事を許されない。


梓「な、何よ・・・それ・・・」


火炎「ふ・・・やっぱ無様だなぁ・・・俺達ゃ・・・なぁ、ソリーよ・・・お前もそう思ってんだろ?」


栄太「・・・・・・・・」


火炎「来世は・・・普通の人間で生まれてみてェもんだ・・・ソリーお前も人でなw」


栄太「俺も普通の人間がいいかな・・・こんな能力こそが争いを招く・・・」


火炎「そうかもしれないな・・・





  だが今の俺は"火炎"。その人生は最後まで美しく生きるッ・・・


栄太「お前・・・」





























火炎「来世でも一緒がいいな、ソリー








栄太「お前は死なせないッ!!今介抱してやるから!」


火炎「必要ねェ・・・」





火炎はソリーを高く突き上げ自分の心臓に突き刺した。





梓「・・・・!!!」


クリス「ちょ・・・!」


栄太「何やってんだッッ!!!テメェ!!!」


火炎「あ・・・相棒に・・・殺される・・・・・のも・・・いい・・・モンだ・・・・・・」


栄太「来世だろうがなんだろうが知らないが・・・俺らがミステリオを必ず倒して・・・いい世界作るから!
   だからそれまで死ぬなあああああああああああああああ!!!」


火炎「・・・・・・・・・・・・・・


























 もっと早くこんな奴らと出会いたかった・・・








火炎は一筋の涙を頬に伝わせ息を引き取った。





栄太「畜生・・・畜生・・・」


クリス「こんなのってないよ・・・」


梓「・・・・・・・」





栄太「仲間をも自らの欲の為に利用し・・・殺す、
  これが・・・これがミステリオ、お前のやり方なのか・・・・・






梓「絶対に許せない・・・」








そして、栄太の双剣と火炎の双剣が一つになった。


栄太「火炎の想い継いでくれってか・・・」


栄太は双剣を手に取る。








この事から一つの双剣に二つの属性を宿すことが出来る剣士に栄太はなった。






「蓮太ッッ!!!!!逃げろ!!!」





この声を聞いたのは、今さっきだ。


俺の体は無造作に吹っ飛び全身を強く打つ。


もう手に力が入らない。


俺の側による顔色が悪いゲンタの声だった。


ゲンタ「畜生・・・!!!今すぐなんとかしてやっからッ!!」


スモーク「出来るのか?次の攻撃が来るぞw?」


ゲンタ「なっ・・・!!!待ってく・・・」


スモーク「い・や・だwww」


スモークは急降下しゲンタを殴りつける。


ゲンタ「ぶはぉああ!!!」


蓮太「げ・・・ゲンタ・・・」


ゲンタ「チッ!!」


ゲンタは体勢を立て直すと槍を構える。


スモーク「おうおう・・・」


ゲンタ「100連貫き!!!」


ゲンタは目に止まらぬ速さでスモークを刺しまくる。


だがそれは煙で作られた幻覚だった。


ゲンタ「なんてこったッ・・・!!」


蓮太「ゲンタ・・・!!後ろ・・・だッ」


ゲンタ「ハッ!!」


気づいた時には、もう遅い。


ゲンタは後ろから蹴り上げられ髪の毛をつかまれる。


ゲンタ「ぐあああああああ!!」


蓮太「ちっくしょーーー・・・」


蓮太はグローブに炎を灯しスモークに一直進する。


スモーク「もう動けるようになったのかwwさすが防衛軍・・・でもここまでだw」


黄色を帯びた煙をスモークは繰り出す。


そして再び蓮太の体はしびれる。


蓮太「ちっくしょおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!」


ゲンタ「れ・・・・・・ん・・・・・・」


ゲンタは今にでも意識を失いそうだ。


スモーク「哀れな奴よ・・・じゃトドメだ」


「"デス・スモーク"」


黒色の煙が飛び出す。




















だが、蓮太とゲンタは見た。
スモークの一瞬の叫び声。
鎌と思われるモノをスモークの首に押し当て切り裂いた。
そして血が飛びだす。









ゲンタ「!!!??」


黒い煙が消えた頃にはスモークは自ら作る血だまりの中央に倒れていた。


蓮太「な・・・何が起こった・・・?」


ゲンタ「とりあえず・・・救われたな・・・」


蓮太「あ・・・あぁ・・・」


ゲンタ「おーい・・・エイトッ!!!出てこいよー」


エイト「ぁ、終わりましたー?待ちくたびれましたよー?」


ゲンタ「テメェ戦ってねェだろうが!!」


エイト「とりあえず、蓮太先輩の痺れが取れたら行きましょう」


ゲンタ「あぁ・・・」


ん?なんでこいつ蓮太が痺れている事知ってんだ?


まさか、エイトが?


あいつ使えるかどうか分かんないけど一応鎌持ってるし・・・


いや、んな訳ないか・・・


あいつ戦えないし・・・見た事ないし・・・


でもじゃなぜ・・・防衛軍に?





!!!


忘れるな、あの日を。


あいつは涙を流していたじゃないか・・・


あいつには・・・何かがある・・・


それだけは確かだ。