episode43 覚醒 inserted by FC2 system





青年は吹っ飛んでいた。


体は空中に浮き意識は遠のいていった。


だが・・・




痛みは感じなかった。





何故かは分からない・・・。


一つ分かるのは、僕にとって重要な何かが思い出せそうな気がしたことだ。


それは何かは分からない。


でも・・・


この懐かしさと・・・涙が出そうなほどな・・・悲しさは・・・なんだ・・・?


この空中の数秒間で・・・奇跡が起きる。


そんな気がした・・・。






「ほらw!浩二!!さっさと起き上がれよー!」





僕の体は傷だらけだった。


浩二「痛ってェなぁ・・・」


僕の目の前にいたのは・・・真治兄さんだ!


そして僕に声を掛けたのは・・・


正男兄さん・・・!!!


正男「ほら!お菓子争奪戦はお前だけ負けになるぞーw」


浩二「う、うるせー!」


浩二は立ち上がる。


みんな僕のことは見えていない様だった。


まだみんな幼い。


それ程ではないが二年前くらいだろうか・・・?


「兄貴、弱いぜ?俺には到底及ばないww」


浩二「うるさいな・・・!零次みたいに毎日運動してないんだから仕方ないだろ?」


零次・・・!!あ、そうか・・・まだこの頃の零次は裏切っていないのか・・・。


零次「関係ないよwwさ、兄さんを倒すんだ!」


真治「おう!来い!」


どうやらお菓子を賭けて勝負しているらしいww。


正男兄さんもいるし、真治兄さんもいるし、零次もいるし、和男もいる。


馬鹿らしいけど、今になって思うと・・・あの頃の日々は・・・本当にいい思い出だ。


和男「浩二兄ちゃん!頑張れ〜
   雑魚なりになっwwwwww


浩二「殺されたいのかな。和男くん」


正男「しかし、浩二は戦い嫌いにも程があるぜ?男は戦わきゃいけない時は・・・」


浩二「うるせーよ!うまかねーんだよ」


真治「さぁ・・・来い!」


浩二「う・・・うん・・・」


真治「浩二から行けないのなら俺から行くぞ!」


真治は走り出す。


浩二「ちょ・・・た、タンマ!!」


真治「知らねーよ!」


真治は浩二の顔面目掛け殴りかかる。


浩二「チッ・・・!」


浩二は真治の拳を避け真治の懐へタックルする。


真治「なっ・・・!」


零次「行け!兄貴!」


浩二「うおおおおっ!」


浩二は全身の力を込め真治を押し倒した。


・・・かのように見えた。


真治はそのまま後転し体制を一気に直す。


浩二「そんなっ・・・!」


真治「おらああああああ!」


真治は怯んだ浩二目掛け強烈な肘撃ちを喰らわす。


和男「い、痛そ・・・wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


正男「何笑ってんだよ!!あれやばいぜ!?」


浩二は吹っ飛び壁に激突し倒れた以来、ピクリとも動かない。


真治「し、しまった!つ・・・つい・・・」


和男「すんませーん!ここで殺人事件起きました〜」


正男「テメェ!馬鹿なこと考えてねェでテメェも心配しろ!!」


真治「浩二!すまん!大丈夫か?」


浩二「・・・・・・」


正男「まぁ、大丈夫だろww?」


零次「一時間もすれば目覚ますってw」





なんだ?この屈辱的な展開・・・。


でも・・・


これがなんの関係が・・・?








ハッ!!!!!!!!!!!!!!!


世界中が停電になった気がした。


僕は・・・僕は・・・・・・・





僕は・・・なんてことを・・・してしまったんだ・・・!





この同じ感覚・・・


浩二はコンクリートの壁に激突する。


ウバ「ふははははwwwほら!!立ってみろ!!まぁそれを喰らって生きてた奴はいないがなww」


浩二「・・・・・」


体がこんなにもボロボロなのに・・・


全身血まみれでもう息をするだけで精一杯なのに・・・


なのに・・・全く痛みや疲労を感じないなんて・・・


それ以上に・・・この感情が・・・


ウバ「な・・・・・なんだと・・・?」


浩二は立ち上がりウバを睨む。


ウバ「き、貴様・・・何故生きている!?」

















浩二「全部思い出したよ・・・・・・俺・・・





ウバ「はぁ!?」


浩二の周りからは、闇の黒いローラが漂い、さっきとは違う・・・瞳。





俺は最低だ・・・


なんで今頃・・・?


自分で自分を殺したい気分だ・・・


帝国軍m.n基地に潜入した時・・・後ろから殴られて・・・






「こいつが本当に"解"のマジックを?」


「分からん。だが・・・実験する価値はあるだろうww」


「分かりましたよww皇帝ノヴァ様ww」


皇帝ノヴァ「ん?何者かが研究室に入り込んだようだな・・・ガオス・・・見てこい」


ガオス「了解ww」











そして俺は防衛軍であった記憶も消され・・・帝国軍m.nに良いように扱われていたんだ。


これが全ての真相・・・。


俺は最低だ。


みんなに生きている意味を教えられて・・・生き甲斐を見つけて・・・


何も成し遂げずに・・・いつの間にか・・・みんなの敵とて・・・生きていた。


知らぬ間に満たされていた幸せをも・・・自らの手で・・・壊してしまった。





そんなのってねェよ・・・


ねェよ・・・














ウバ「くそ・・・もう一発喰らわせてやるよ・・・!!」


浩二「・・・・・」


ウバ(さっきと・・・違う・・・殺気がハンパねェ・・・!)




















俺は・・・決して許されないことをした・・・


許して欲しいとも言わないし・・・許して欲しいとも思わない。


だけど・・・


命懸けでみんなを守る。


この身が朽ち果てようとも・・・みんなを守りきる。


それがせめてもの罪滅ぼしになるのなら・・・・・








だからコイツなんかに負ける訳にはいかない。





浩二「お前、ウバって言ったな・・・?」


ウバ「あぁ?今更なんだwww?」








浩二「ウバ・・・・・・


   お前を倒さなければ・・・








  死んでも死にきれねェ・・・・・!